作家とは永遠の浪人であります
どうやらサイトで動画も流れているようですので、昨日見てみました。
この記事はその感想です。
著作権保護期間の延長問題を考える国民会議にて配信されていますので、よろしければ皆さんもご覧下さい。
テーマは「現在50年である著作権有効期限を70年に引き延ばしてはどうかという意見があるが、その是非は?」と言ったところだろうか。
このブログを定期的に読んでいただいている方ならおわかりかと思いますが、基本的に僕は反対です。
しかし闇雲に「反対反対!!」とは叫びたくない。
賛成を主張する意見も聞いて、もし延長した方が公的な利益が大きいのであれば、賛成したい。そう思っています。
と言うか議論というのはそういうもんですよね?
自分の意思を相手に伝え、相手の意図をこちらが読み取り自分の中で消化する。
なにも相手を理屈や感情、固定観念で黙らせたり言い負かしたりする場ではありませんしね。
論点の整理やそれぞれの言い分は
http://thinkcopyright.org/reason.html
を参考にしてください。
あとやっぱり面白かったのはパネルディスカッション。
時間のある方は是非。
http://thinkcopyright.org/resume.html
賛成派の人も反対派の人も楽しめると思いますよ。
ちょっと僕なりの感想です。
パネリストは
田中辰雄(慶應義塾大学経済学部助教授)
富田倫生(電子図書館「青空文庫」呼びかけ人)
平田オリザ(劇作家、演出家)
松本零士(漫画家)
三田誠広(小説家)
山形浩生(評論家)
とこんな感じ。
「20年延長して得られた分の資金を半分は文化促進の予算にして、残りの半分はユニセフに委託すれば、外圧で「延長しろ!」と迫ってきているアメリカの鼻もあかせるし、ここにいる皆さんも納得できるんじゃないですかね?」
という平田オリザ先生の案が面白かったですね。
でもそう言った大胆な思索は行政府が法案を企画立案しにくい日本では難しいだろうなぁ。
権限をもっと内閣府に集中させないといけませんが、それには憲法改正を初めとする色々な障壁が待ちかまえているでしょうね。
あと僕としては田中先生の
「延長がどうこう言えるほどデータが集まっていない」
と言う意見に激しく同意。過去に延長されたとき、改正された時の経済学的なデータの収集と分析がなければ結局「あるべき論」になってしまいますもんね。
その「あるべき論」に終始していたのが松本零士先生でした。
冒頭から「作家は永遠の浪人であります。」とか「作家は、明日路傍に迷うことも覚悟の上で日々苦闘している。誰も助けてくれない壮烈な世界だと改めて言っておきたい。」と言うなど終始「自分中心」の主張を展開。
こういうこと言われると創作をしていない人間は
「創作ってのはそんなに偉いことなのか?」
と思いたくなるし、
TKさんが言うように
>たとえサラリーマンでも、「明日路傍に迷うことも覚悟の上で日々苦闘して」います。
>家族を路頭に迷わせないよう考えてます。
と感じてしまいます。
そうなっては正当な要求でさえ通らなくなってしまうんではないでしょうかね。
松本零士先生の迷走っぷりには以前ここでも指摘したが、ハッキリ言ってミスキャスト。
松本先生は代理人を通じて発言された方がよいです。反感を招くだけですよ。
他のパネラーから「先生は名誉とお金どちらが目的なんですか?」という趣旨の質問をされ松本先生が
「作品というのは自然淘汰されていく。その中でより多くの人にできる限り長く読んでもらいたいと思って書いている。」
と発言したとき、
反対派パネラーから「じゃ、、、パブリックドメイン(著作権が公的なものになっている状態≒無償)の方がより多くの人に読んでもらえるから、その方がいいじゃないですか。」
と突っ込まれて答えに窮してしまったり。
この場面は慌てて賛成派の三田先生が
「それは今回の議論に関係はない。社会的に有用な活動、文化的な行為に関して申請すればフリーで使えるシステムを構築すればいいのであって、著作権の延長問題とは別だ」
と言う反論されていました。
そう。これが議論です。
ただちょっと松本先生の擁護というかこのシンポジウムの模様を記事にしていたITmediaに苦言。
著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱
以下引用-----------------------------
シンポジウムの最後には、レッシグ教授が寄せた「延長はクリエイターのインセンティブにならない」というメッセージが読み上げられた。すると零士さんは「最後にそれで締めくくられるのは不公平。こういう締め方をするなら私はきょうここに来なかった」と怒りをあらわに。
引用終わり-----------------------------
いや、「怒りをあらわに」って感じじゃなかったから(笑)
本当に「ちょっといいかなぁ??」って感じでしたよ(笑)
それにね。
僕もレッシグ教授のメッセージで終わるってのは
「そりゃ不公平だろ」と思いましたからね。
松本先生の主張は全うです。
正論。
ただその後に
以下引用-----------------------------
青空文庫の富田さんが「ではもう一言ぜひ」とうながすとこう語った。
「文筆家や作家は、明日路傍に迷うことも覚悟の上で日々苦闘している。誰も助けてくれない壮烈な世界だと改めて言っておきたい。けんか腰の議論はしたくない。和気あいあいとおだやかに進めたい」
引用終わり-----------------------------
って最期まで自分中心の論理でしたけどね。
コメント
実はまだ動画を見てないんですよね(汗)。
>いや、「怒りをあらわに」って感じじゃなかったから(笑)
やっぱり、情報ソースは一つだけじゃ駄目だなぁと思いました。
色々と視野を広げてくれる、コメントやトラバはありがたいですね。
さて、次回(あるのか?)の松本先生に期待ですな(笑)
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僕も基調講演の部分は他の作業をしながら聞き流してたしw
松本先生は早いこと代理人立てた方がいいです。
本人のためにも回りのためにも。
でも、暴走っぷりは見てみたいかもw